2017年2月4日土曜日

 McIntoshC29の改造

McIntosh C29
 以前入手したMcIntosh MC2500が良かったので、McIntoshのプリアンプはどうだろうかと興味がありましたが、ある日オークションでMcIntosh C29が出品され、適当な金額でしたので落札しました。
 しかしこれを視聴すると、その音はひどく、昔のオペアンプの音そのものでした、レンジは狭くスピード感のない音が、もぞもぞと鳴っています、おまけに雑音レベルも高く音は安定しません、10分ほど聞いて電源を切りました。
 これがC29の音かと落胆しましたが、お金を払っている以上何とかしなければなりませんので、このアンプの改造を計画しました、これによりC29オリジナルではなくなりますが、こんな音だと価値は有りませんので実行に移しました。

 回路図を見ると典型的なオペアンプの回路そのものですので改造はすごくやり易く、また近代のオペアンプがそのまま利用できそうです。C29以後のMcIntoshプリアンプは、回路が複雑になり改造は楽でなさそうですので、その意味でもC29の落札はラッキーでした。

OPA627
 C29に使用されている心臓部であるオペアンプは大昔と言っていいほどの時代のもので、現在では技術として3世代から4世代以上進歩しています、幸い以前に色々オペアンプを比較したことが有りますので、この中より最も音が良いOPA627を選択しました、しかも回路パターンの修正無しにこのオペアンプがC29に利用可能です、回路は単純で6個の使用のみで済みますので金額的にも楽と、良いことばかりでした。
 雑音レベルが高かったのでついでに抵抗を雑音が少なく精度の良い金属皮膜抵抗に変え、信号の通るラインにある電解コンデンサを最新のフイルムコンデンサに置き換えるようしました。

C29の交換済み部品
 改造はまず電源のICを18Vより15Vに置き換えました、近代のオペアンプは±15Vが標準仕様となっておりOPA627も同様です。
 次に電源等の信号ラインでは無い場所の電解コンデンサをオーディオ用のコンデンサに交換、信号ラインのコンデンサを薄膜高分子積層コンデンサに交換しましたが、このコンデンサはチップ仕様のため足がありませんので、まず無誘導フイルムコンデンサに交換した後、裏の半田面でこの足を利用し実装しました。
 またICソケットの交換、オペアンプの差し替え、抵抗の交換を行い、その後C29のミューティング回路の特性を計りそのまま使用できるか検討しましたが、この回路の特性が良くなく、ばらつきも出ていましたので、ミューティング回路を新規に作成し交換しました。

回路図(部分) ICの2,3ピンにある100pf、47pf 5,8ピンの22pf 3ピンの10pfは高域補正
          IC103のC133 220pfが帯域制限のコンデンサ

 最終的には1か所のコンデンサが容量の問題でフィルムコンデンサに置き換えられずオーディオ用の両極性コンデンサになっています、また回路を見直し不要と思われるauxなどの入力直後にあるコンデンサをジャンプしました。


 改造が終わって調整に入り周波数特性等計りましたが、この時の特性としてはカタログ通りでよくも悪くも有りません、音としては最初に聞いた時とそれほど変わりませんでした。

修正済み回路の部品面 セラミックコンデンサが無くなってすっきり、右下のプリント板は新設のミューティング回路
 これから近代のオペアンプ用の回路に合うよう修正します、昔のオペアンプは周波数特性を伸ばそうとすると不安定になるためそのための補正回路が多々入っています、この補正のための回路は不要ですので片っ端から除いていきます、オペアンプの周りにある数個のセラミックコンデンサはすべてこの回路です、回路基板よりこの回路を除くとセラミックコンデンサは1,2個残るだけになりました。

 C29は故意に周波数特性を20KHzに制限しています、昔のICのためだと思われますが、これを今回のIC用に調整します。調整用のコンデンサとしては220pfが入っていますが、これを取り去っても現在のオペアンプは安定して動作します。
 実際に取り去ると周波数の特性は一気に100KHzを超えますが、波形に少しオーバーシュートが出てひずみが出ますので、いろいろこの値を変え音を聞きながら調整して行きます。
 まず100Pfと半分の値にしました特性は40KHz近辺です、結構良い感じの音になり、数枚CDを聞いた後これで良いかなと打ち切ろうとしたのですが、念のため聞きなれているヤマハのC2aに戻すと過不足有りますがまだC2aの方が良いのです、同年代のプリアンプですがヤマハのC2aはほんとに良くできています、素直ですっきりとした音がします。
 そこで少しオーバーシュート(数%)が出るのを承知で調整用のコンデンサを33pfにしました特性は90kHz程度です、(オーバーシュートはC29のラウドネスコントロールつまみをflatより8時位の位置に上げれば消えます)これでC2aと聞き比べると今度はやっとC29の方が良くなりました。

修正済み回路の半田面 (積層コンデンサと奥に33pfのスチロールコンデンサが見える)

 音は主観が入り個人で異なりますが、一言で分けるとC2aのフラットで透明感がありアンプを感じさせない音と、C29の悪い意味ではなく気持ちよく聞けるように作られた音になると思います、C29のオペアンプを変えることによりこの音に加えワイドレンジでスピード感がある音に変化しました。

 その後このC29どんどん音が良くなって行きました(情報量が増えて行き、奥行と深みが増しました)、エージングか?慣れのせいか? 
 オーケストラはいうに及ばずボーカルや楽器等はよりリアルに聞こえ、C29の気持ちよく聞こえる音が本領を発揮しています。

 余談ですが) 調整中不思議に思うことが有りました、私の可聴周波数はせいぜい10KHzまでなのですが、なぜかそれを超える音を判別できるようです、調整後半のC2aとC29の微妙な差を聞き分けることができました(実際は大きな差?)、音のスピード感、これは周波数特性や信号の立ち上がりでしょうが聞いた瞬間どちらが良いかもわかります、  私と同世代の耳に不安がある方も安心できるかも知れません??? 

1 件のコメント:

  1. お疲れ様です。ここ2年以上空白が有りますが、最近の動静を待っています。

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