2017年2月4日土曜日


初ブログです。

 退職後2,3年立つと仕事の整理もでき時間的にゆとりが出てきます、40年来ずっとオーディオのフアンなのですが、聞く機会はそれほどなく、やっとゆっくりと長時間聞けることになりました。

 しかしそこで問題になったのはオーディオの色々な粗が耳につきだした事です、どうにも落ち着きません。新品を買うゆとりは有りませんので自作や改造を主にし、できるだけお金をかけないで改修して行こうと思い立ちました。

[アンプ類] 














 これが2,3年前の状況ですが、実際やり始めると思った以上のとんでもない時間と手間がかかってしまいました、現役の頃だと土日を潰しても間に合わなかったでしょう、ここは退職者の良いところで時間と手間はいくらでも有りますので、一つ一つ気になるところを直して行きました。

 現在やっと落ち着きましたので途中経過等を、記録を兼てと思いブログを書き始めました、お笑い下さい。

[スピーカー]


 CDプレーヤー
 
 SACD用のプレーヤーが、CD1枚しか再生せず長時間の視聴が出来なくなりました。

 とりあえずSACDの再生はこのままにして、バックグラウンド用として通常のCDプレーヤーを別に購入しようと思い立ち、安くて評判の良いものを価格.comで探した結果、DENONのDCD-755REを選択しました。

 評判にたがわず良い音がします、1年程度フルに活用していましたが何か物足りなくなってしまいました、どんなCDをかけても’良い音’がするのです。まあ1年も良く稼働してくれたと思い別のCDプレーヤーを探すことにして、この755REは家内の所に行くことになりました。今はBOSEの301MMと組み合わさっています、相性が良いようで私の所より元気があります。

[CD6005]
 新たなCDプレーヤーはMarantzのCD6005を購入しました、これも評判のプレーヤーで期待しながら電源を入れると???なんじゃこりゃ。
 音は硬くドンシャリと鳴り、ひどいの一言でしたが、音のレンジが広く聞こえたのでしばらく電源を入れっぱなしにして置くと、数時間後にはなんとか聞けるようになり、CDプレーヤーのエージングがあると初めて知りました。

 1週間後には素晴らしい音となり満足しています、とても3万円とは思えない音です、メインのCDプレーヤーになりました。


[CD6006の内部]
 余談ですが) 人の欲とは限りないもので、このCDプレーヤも1年後にはもっと良いものは無いかと探される羽目になりましたが、懐具合にも制限され、またこのCDプレーヤを超える音とは?に疑問もあり躊躇していました。
 ふと価格.comを見るとこのCDプレーヤーの後継機種とみられる’CD6006’が出ていて金額も1万円高とそれなりに良さそうでした、思わず「ぽちり」としたのですが、、、
 着いたCDプレーヤ、”音も” 外見も変わりません(ヘッドホンのレベルつまみが変わっていましたが)内部を見てみるとこれも同様で接続ケーブルと最終出力と思われる電解コンデンサが1、2個変わっているのみでした、カタログをよく見るとヘッドホンアンプが変わっているようです、しかし私はヘッドホンなるものは使いませんので、全く無駄な買い物となりました。




 LAXMAN CL-32 プリアンプ
 
 我が家のオーディオ装置に使用しているプリアンプのYAMAHA C2aが立て続けに故障しました、私の退職以来稼働率が急に上がったためと思いますが、これに困りバックアップの機器を探し始めました。

[LUXMAN CL-32]

 オークションサイトで何気なくみていると真空管のアンプが目に付きました、真空管は40年前にプリアンプを自作したことがありその音は良かったと今でも記憶してますが、その時代はトランジスタが出回り始め、皆トランジスタアンプ、トランジスタアンプと言っていた時期で、私もそちらに流されあまり使わないまま分解してしまいました。

 このことを思い出し真空管アンプを検索し適当なものは無いかと探したところCL-32のジャンクが有りました、真空管のアンプは部品点数が少なく修理も容易なのでこれを3万円ぐらいで落札し早速修理を開始しました。
 予定外だったのは真空管に使えるような部品を持っていなかったことで、すべての部品を購入するはめとなり最終的には落札金額と同じぐらいの金額がかかりました。
 
[修理済 CL-32 内部]
 修理個所は電源の平滑コンデンサを始め全電解コンデンサ交換、イコライザ、カップリング用等フィルムコンデンサ交換、抵抗をノイズが少ない金属皮膜に交換、配線チェックやり直し、弱い部分の強化とほとんどの部品に手を入れました。
 修理が終わりテストでノイズを出している真空管も交換し、もう大丈夫と思い音のチェックを始めました。
 
 YAMAHAのC2aと音の比較をしたのですが、意外なことに良く似た傾向の音がします、真空管はもっと甘い音と思っていたのですが過去の記憶の思い違いでしょう、入力信号に忠実であると同じ傾向の音がするのかも知れません。
 素直で透明感がある音がします、聴き比べると僅かに真空管らしい音もしますが比べないと分からないレベルです。
 
 このCL-32は予備機として時々火を入れていますが、真空管に付き物のノイズ等は無く良く動いてくれます。


 チャンネルデバイダーの製作

 スピーカーはマルチチャンネルのアンプ構成になっていますので、そのためのチャンネルデバイダーを使用しています、このデバイダーは20年以上前に作成した物で音に不満があり、退職後の長時間視聴する今は気になりますので、チャンネルデバイダーを新規設計して製作するよう計画しました。

 このデバイダー設計当時の状況は、部品の入手やパラメーターの計算に関し限定された事しかできなくて、チェビシェフ特性のフイルターを組み込んでいました、チェビシェフ特性はカットオフ周波数付近の位相が乱れますので、この特性をベッセルに変えたフィルターを新たに設計するようにしました、ベッセル特性は位相の乱れが少ないことで知られています、またクロスオーバー周波数も変えられるようにしました。

[新チャンネルデバイダー外観]
 新たなデバイダーのケースは昔使っていたSONY 4300Fを流用し省力化、設計製作に関してはネットワーク環境や通販のシステムを活用しました。
 設計はwebページでパラメーターを入れれば計算してくれるツールがあり無料で使用できます、またwebの通販ではあらゆるパーツを数日後に手に入れることも可能でした。
 このようにネットワークには大いに助けられ、この状況がなければ新たなチャンネルデバイダーの製作はできなかったでしょう。

(この10年のネットワークや流通の進歩はすごいの一言です、yahooやamazonで「ぽちり」とやる弊害もでてきましたが)

 結果ですが、新たなデバイダーは大成功で音はまろやかになりソースを選ばなくなりました、たぶんですがクロスオーバー周波数付近の位相の乱れのせいで音が荒れていたのだと思います、長時間の視聴も全く問題ありません。

 チャンネルデバイダーの改造

 後日、スピーカーを増設する関係より4チャンネルのデバイダーに変更することになりましたが、使用しているオペアンプを見直す作業中、やはりネット上で気になる情報を見ました。


[比較したオペアンプ]
 オペアンプの種類で音が変わるとのことです、まあ有っても微小な差でオペアンプのFET入力等の機能的な性能のためだろうと思っていました。しかし無視もできなく試しに数種類のオペアンプ(1個百円~数百円)を買って差し替えて見ましたが、あっと驚く結果となりました。

 オペアンプの性能によらずAUDIO用と表示されている方が音は良いのです、また別のICを買って色々聞き比べましたが、一番有って欲しくない結果となりました、高価(1個数千円)なICの方が音は良いのです、仕方なくOPA627を20個(相当)とMUSE01を2個購入使用しましたが大変な散財となりました。



[チャンネルデバイダー内部]
 私見ですが、OPA627の音質は素直で癖がなく高域まで伸びています、特質すべきは低域の量感で他のどのオペアンプより豊かです、ほぼすべてのICをこれに置き換えました。
 MUSE01は高域に特徴があり音としては余韻が残る、煌びやかになる等(大げさですが)です、このICは中高域用最終段のバッファーアンプとして使用しました。


 低音用スピーカー

 YL音響のホーンにJBLのLE15を実装し、ウーハーとして使用していましたが、低域不足でJBL PB12/100のサブウーハーを1個追加していました、ホーンと間接音のサブウーハーはつながりが良く、小ホールでのボーカル等はすごく雰囲気を感じることができましたが、迫力という面では不満が有り、直接体に感じるような音圧がほしいと思っていました。

[外観]

 YLのホーンを置いている関係よりこれ以上の置く場所は無く半分あきらめていましたが、ある時YLのホーンの上に足をつければサブウーハーのエンクロジャーが置けることに気が付きました。
 
 早速ネットオークションでJBLの46cmウーハー2241を落札し、エンクロジャーの製作に掛かりました、設計はやはりネットででき、サイズと共振周波数が決まればバスレフポートの寸法が計算されます、板材は12mm厚の針葉樹ボードを2枚接着し24mmとし、サイズはYLのホーンに合わせホームセンターで切断してもらいました、容量は200リッターでバスレフの共振周波数は30Hzとしました。


[JBL 2241]
 40年ぶりのスピーカーボックスの制作ですが、昔に比べて考えられないくらい楽でした、設計で板取さえちゃんとしていればmm精度でカットしてもらえますので残るは組み立てだけですが、電動ドライバ等の工具であっという間です、サンダーで仕上げて塗装と3,4日で出来上がります、かかった経費は左右2組でスピーカーの約5万円と板材、塗料、サランネット等で約4万円の合計9万円でした。


 スピーカー端子
 
 スピーカーボックスを作り、ボックスの外へ配線を引き出すための端子をネットで探しました。

[写真1] 
 写真1のような見るからに高級そうな端子が1個200円程度です、早速買いこみスピーカーボックスに取り付けようとねじを締めたところなんと折れてしまいました。

 どうにか取りつけ通電し音を聞いたところなんかおかしい、音が詰まってしまいます、まさかこの端子???わずか1cmにも満たない金属が影響を与えるとは???と思い材質を見るとどうも真鍮に金メッキらしい、真鍮は良く電気製品に使われるのに???。

[写真2] 
 それならと写真2に有るような端子を注文しました一個200円、材質は銅ですので影響はないでしょう、ところが届いた製品を確かめると、今度はプラスチックの部分の加工が悪く、まともに締め付けられないもので、安い中国製品はひどいという結果でした。



[端子台]
 結局スピーカー端子は電気製品用の2極の端子台となりました。

 スピーカーケーブル

 ウーハーを増設したため接続用ケーブルが必要となり、また他のスピーカーも30年前のケーブルを継ぎはぎして使用していましたのでこの際見直すことにしました、ケーブル長は片方7mにもなり音に対しての影響は大きいと思われるのですが、すべてのスピーカーの配線を変えるとなると7x2x4の56mにもなりますので一様に変えることはあきらめ必要最小限にすることにし、まずネットで評判やコストパフォーマンスが良い数種類のケーブルを手配しました。

 1つはベルデン社の9497でm単価は250円、他はカナレ社の4S8と4S8Gでm単価は170円と380円です、それぞれ15m注文しましたので結構な金額となってしましました、このケーブルを各パートのスピーカーにつなぎ変え音質をチェックしました、スピーカーは低音のJBL2241,中低音のLE15,中音の375、高音の075で、クロスオーバー周波数は下から180Hz、800Hz、7KHzとなっています。

 ベルデン社の9497を影響が出やすいと思われる中高音に接続したところ、双方音が崩れ変な音になってしまい使用できませんでした、(短いと良いのかもしれませんが)低音部にはケーブル断面積が小さいため使用しませんでしたので、結果お蔵入りとなりました。

[4S8]
 カナレ社の4S8ですがケーブルを見てみると4本撚りのしっかりした作りで導体断面積も大きく絶縁材も良いものを使用している様で安心感が持てます、しかも単価は非常に安くこれでメーカーは儲かるのかと心配するほどです、音質は良いのですが中高域に使用すると音のレベルが下がります、4本撚りで2本ペアで使用するためケーブルが長いと寄生する容量などの影響があるのかもしれません、このケーブルは180Hz以下の低域に使用しました、音質、エネルギー感とも差しさわりありません。

[4S8G]
 カナレ社の4S8Gは導体を無酸素銅に変え上記4S8の欠点を解消しているようです、中高域に使用してもレベルの低下は見られませんでしたが、4S8に見られたレベル低下の原因がいまいち分かりませんので、このケーブルは15m追加し中低域と中域に使用しました。




[AT?]

 残る高域には今まで使用していたオーデイオテクニカのケーブル(型名は忘れましたがTVのフィーダー線のような2本の導体が離れているタイプ)をそのまま使うことにしました。

 これにて一件落着となりましたが、結構な作業量となり、重いスピーカーを動かし結線し元に戻した後に視聴、また同様な作業と繰り返し、やっと落ち着きました。動作すれば高域が、、低域が、、などは忘れてしまいます、バランス良く鳴ればOKです。



 McIntosh MC2500

 低音用にJBL2241を使ったスピーカーを作りましたが、いまいち音の出方がすっきりしません、パワーアンプはそこらに有ったRAMSAのWP-9220ですがこれでも片チャンネル200Wの仕様です、これ以上のパワーを出そうとしても自作は難しいしどうしようかと迷っていました。

 悪いことにちょうどオークションにMcIntoshという有名メーカー(名前だけは知っていました、PCかも)のアンプ、なんと片チャンネル500Wが出品されていました、ものすごく古くあちこち手を入れないといけないようですがなんとかなりそうです、金額も同様で落札してしまいました、20万円台の前半だったと思います。

 60Kgという馬鹿げた重さのアンプをギックリ腰にならないよう注意しながらメンテナンスを行い稼働させましたが、この重さ以上の驚きがスピーカーにつないだ時訪れました。

 音が重くすっきりしなかったJBL2241が生き返り、これまでは聞けなかったやわらかで重厚な低音が出てきます、感動でした、メーターを見ていると1Wも出ていません、なんでこれだけ違うのかわかりません、良いアンプです。

 これに味をしめ予備機としてもう一台手に入れ稼働させています、この40年の間でオーディオにかけた最大の出費でした。

 余談ですが) 2台整備してこのMC2500には欠点があると感じています、回路がケースに覆われ熱がこもり易い構造となっています。
 60度か70度で動作するファンが有りますが、それまでは熱が上がりっぱなしで長期的にはコンデンサが劣化してしまいます、また内部のコネクタに使用されているプラスチックも劣化していました。
 特に日本の夏にエアコン無しに稼働させると悲惨なことになります、2台共電源の平滑コンデンサが液漏れで、電源コネクタは真っ黒になり接触不良寸前でした。
 メンテナンスは回路中の全電解コンデンサの交換と劣化したコネクタの交換を行いました、またケースの天板をパンチングメタル製にし通風を良くしています、おまけとしてメーターランプを消費電力が少なく(熱が出ない)玉切れのないLEDに変更しました。

 レコード

 40年以上前オーディオを始めたころの音源はLPレコードや公共放送などでした。

[レコードプレーヤー]
 LPレコードの最盛期、40年ほど前ですがそれまで何台か買い替えていたレコードプレーヤの最高機種をこの際買っておこうと思い、TechnicsのSP10MKⅢを購入しました、トーンアーム、カートリッジも同時に購入と、当時かなりの出費をしてしまいました(結婚後まだローンが残っていて問い詰められたことがあります)。
 おかげで今も現役で活躍していますが、ハードウエア重視となりレコード盤までは手が回らなくなってしまい、聞く分野も偏っていました。

 退職後このプレーヤは有るし、以前はなかなか手がでなかったLPレコードを探してみようと、ネットを検索しオークションに入り込みました。LPレコードは当時の値段の1/10程度で手に入りますが、落札したレコードによってはカビ等ひどい状態のものがあります、今ではレコードクリーナー、スプレー等の保守製品が簡単に手に入りませんしどうしようかと思った挙句、レコードを洗う装置(一種のレコードクリーナー)を作ろうと思い立ちました。

[レコード洗浄機]
 超音波洗浄機をやはりネットで中古を落札し、その中にレコードを半分浸けて回転させるモーターを自作しました、モーターはジャンク箱にあったパルスモーターと回転させる回路を組み合わせ、2分や4分に一回転等の機能を持っています。
 うまくいったと思っていましたが、洗う手間が結構面倒くさく、ほとんど使用していません、レコードはいろんな意味でやはり大変です。


 聞こえるかな?

 長らく気になっていた超高音部、今使用しているJBLの075は15,6KHzまでしか再生しないと何かで見た記憶があります、人の可聴領域は20KHzと言うのが定番ですのでこの差を埋めたいと思っていました、パイオニアのPT-R7当たりが良さそうですがオーバースペックに思えます、またオークションの落札金額もとても手が出ません。

 ある日オークション上でVICTORのリボンツイーターを見つけました、周波数特性も50KHzまで再生できるように書いていて、大きさもちょうど良く、金額も2個で6千円と妥当です、思わずクリックしてしまいました。

 品物が到着し早速セットアップ、075が15,6KHzまでしか出ていないならその上を埋めるだけで簡単、1μのコンデンサを付けて完了です。

 音を聞いてみましたが???わからん???で、とりあえずそのまま付けていますが、コンデンサを2μにすると何か雑味が出るような気がしますので動いているようです。


 余談ですが) スマホのアプリでいろいろな周波数の音が出せるようで、娘がこれ聞こえる?と恐ろしいことを言ってきました、家内ともども聞こえる聞こえると言っていましたが、当方は感知しませんでした、何と10KHzです、、、とほほ。    「私の耳は奢っているのでスマホのスピーカーでは間に合わないのだ!」
 McIntoshC29の改造

McIntosh C29
 以前入手したMcIntosh MC2500が良かったので、McIntoshのプリアンプはどうだろうかと興味がありましたが、ある日オークションでMcIntosh C29が出品され、適当な金額でしたので落札しました。
 しかしこれを視聴すると、その音はひどく、昔のオペアンプの音そのものでした、レンジは狭くスピード感のない音が、もぞもぞと鳴っています、おまけに雑音レベルも高く音は安定しません、10分ほど聞いて電源を切りました。
 これがC29の音かと落胆しましたが、お金を払っている以上何とかしなければなりませんので、このアンプの改造を計画しました、これによりC29オリジナルではなくなりますが、こんな音だと価値は有りませんので実行に移しました。

 回路図を見ると典型的なオペアンプの回路そのものですので改造はすごくやり易く、また近代のオペアンプがそのまま利用できそうです。C29以後のMcIntoshプリアンプは、回路が複雑になり改造は楽でなさそうですので、その意味でもC29の落札はラッキーでした。

OPA627
 C29に使用されている心臓部であるオペアンプは大昔と言っていいほどの時代のもので、現在では技術として3世代から4世代以上進歩しています、幸い以前に色々オペアンプを比較したことが有りますので、この中より最も音が良いOPA627を選択しました、しかも回路パターンの修正無しにこのオペアンプがC29に利用可能です、回路は単純で6個の使用のみで済みますので金額的にも楽と、良いことばかりでした。
 雑音レベルが高かったのでついでに抵抗を雑音が少なく精度の良い金属皮膜抵抗に変え、信号の通るラインにある電解コンデンサを最新のフイルムコンデンサに置き換えるようしました。

C29の交換済み部品
 改造はまず電源のICを18Vより15Vに置き換えました、近代のオペアンプは±15Vが標準仕様となっておりOPA627も同様です。
 次に電源等の信号ラインでは無い場所の電解コンデンサをオーディオ用のコンデンサに交換、信号ラインのコンデンサを薄膜高分子積層コンデンサに交換しましたが、このコンデンサはチップ仕様のため足がありませんので、まず無誘導フイルムコンデンサに交換した後、裏の半田面でこの足を利用し実装しました。
 またICソケットの交換、オペアンプの差し替え、抵抗の交換を行い、その後C29のミューティング回路の特性を計りそのまま使用できるか検討しましたが、この回路の特性が良くなく、ばらつきも出ていましたので、ミューティング回路を新規に作成し交換しました。

回路図(部分) ICの2,3ピンにある100pf、47pf 5,8ピンの22pf 3ピンの10pfは高域補正
          IC103のC133 220pfが帯域制限のコンデンサ

 最終的には1か所のコンデンサが容量の問題でフィルムコンデンサに置き換えられずオーディオ用の両極性コンデンサになっています、また回路を見直し不要と思われるauxなどの入力直後にあるコンデンサをジャンプしました。


 改造が終わって調整に入り周波数特性等計りましたが、この時の特性としてはカタログ通りでよくも悪くも有りません、音としては最初に聞いた時とそれほど変わりませんでした。

修正済み回路の部品面 セラミックコンデンサが無くなってすっきり、右下のプリント板は新設のミューティング回路
 これから近代のオペアンプ用の回路に合うよう修正します、昔のオペアンプは周波数特性を伸ばそうとすると不安定になるためそのための補正回路が多々入っています、この補正のための回路は不要ですので片っ端から除いていきます、オペアンプの周りにある数個のセラミックコンデンサはすべてこの回路です、回路基板よりこの回路を除くとセラミックコンデンサは1,2個残るだけになりました。

 C29は故意に周波数特性を20KHzに制限しています、昔のICのためだと思われますが、これを今回のIC用に調整します。調整用のコンデンサとしては220pfが入っていますが、これを取り去っても現在のオペアンプは安定して動作します。
 実際に取り去ると周波数の特性は一気に100KHzを超えますが、波形に少しオーバーシュートが出てひずみが出ますので、いろいろこの値を変え音を聞きながら調整して行きます。
 まず100Pfと半分の値にしました特性は40KHz近辺です、結構良い感じの音になり、数枚CDを聞いた後これで良いかなと打ち切ろうとしたのですが、念のため聞きなれているヤマハのC2aに戻すと過不足有りますがまだC2aの方が良いのです、同年代のプリアンプですがヤマハのC2aはほんとに良くできています、素直ですっきりとした音がします。
 そこで少しオーバーシュート(数%)が出るのを承知で調整用のコンデンサを33pfにしました特性は90kHz程度です、(オーバーシュートはC29のラウドネスコントロールつまみをflatより8時位の位置に上げれば消えます)これでC2aと聞き比べると今度はやっとC29の方が良くなりました。

修正済み回路の半田面 (積層コンデンサと奥に33pfのスチロールコンデンサが見える)

 音は主観が入り個人で異なりますが、一言で分けるとC2aのフラットで透明感がありアンプを感じさせない音と、C29の悪い意味ではなく気持ちよく聞けるように作られた音になると思います、C29のオペアンプを変えることによりこの音に加えワイドレンジでスピード感がある音に変化しました。

 その後このC29どんどん音が良くなって行きました(情報量が増えて行き、奥行と深みが増しました)、エージングか?慣れのせいか? 
 オーケストラはいうに及ばずボーカルや楽器等はよりリアルに聞こえ、C29の気持ちよく聞こえる音が本領を発揮しています。

 余談ですが) 調整中不思議に思うことが有りました、私の可聴周波数はせいぜい10KHzまでなのですが、なぜかそれを超える音を判別できるようです、調整後半のC2aとC29の微妙な差を聞き分けることができました(実際は大きな差?)、音のスピード感、これは周波数特性や信号の立ち上がりでしょうが聞いた瞬間どちらが良いかもわかります、  私と同世代の耳に不安がある方も安心できるかも知れません??? 

 YAMAHA C2a プリアンプ
 
 今より30年以上前に購入しつい最近まで現役稼働していた名器です、一番の特徴は機器を感じさせないことに有ると思っています、音は率直で無色透明、周波数レンジは広くスピード感も有ります、他のアンプと聴き比べるとほんの僅か音が柔らかくなっているようです。

[YAMAHA C2a]
 内部を見てみると基本的なデバイスは最高級品を使用し、信号のルートよりはコンデンサが極力排除され、一般的な電解コンデンサは電源部に使用されているのみです。
 購入後にアンプを開け、安物のデバイスが使われていたときは交換しようと思ったのですが全く手が出ませんでした、すごい設計がされています。

 このアンプも寄る年並みには勝てず近年になって何度も修理しました。
 一番の原因はケースの密閉性に有ると思っています、昔の性能を狙ったトランジスタアンプですので思ったよりもパワーを食っています、アンプ上面を触ると結構熱くなっていますが周りを見ると放熱口らしきものはありません、内部回路はかなり高温になっているでしょう。

[故障部品と予防のため交換した部品]
 幸いなことに回路図がネットよりダウンロードできますので故障しても何とか修理出来ます。
 このアンプで故障した箇所は出力部のトランジスタが2回、入力部のトランジスタが1回、フィルムコンデンサの容量抜けが1回と熱に起因する故障が多くなっています。
 我が家でのこのC2aは、改造C29にメインシステムのプリアンプの座を明け渡し、作業場のサブアンプとして余生を送っています。